2015年9月28日

肝内胆管がんについて~どうやって予防するか~

先日、ある女優が肝内胆管がんで亡くなりました。54歳という若い年齢からも、衝撃
を受けた方が多いと思います。

そこで、今回は肝内胆管がんについて、書こうと思います。

胆管癌は胆管の上皮細胞から発生する悪性腫瘍です。脂肪などの消化を助ける胆汁と
いう物質は、肝臓で作られ、胆管という管を通じて、十二指腸に送られます。このた
め、胆管には、肝臓内にある「肝内胆管」と肝臓の外にある「肝外胆管」にわかれま
す。このため、胆管癌は、発生した胆管の部位により、肝内胆管がんと肝外胆管がん
の2種類に分けられます。一般的に「胆管がん」というと、主に肝外胆管に発生し
たがんを指します。これは、肝内胆管は肝臓内にあるため、肝臓にできたがんとし
て、肝細胞がん(略して肝がん)と一緒に取り扱われることが多いです。肝臓にでき
るがんの多くは、肝がんといわれる、肝細胞がんは、肝臓にできるがんの90%以上を
占め、管内肝肝がんは肝臓のがんの中では頻度は少なく、3~7%程度と言われていま
す。

国立がん研究センターによる2015年のがん死亡数予測では、胆嚢・胆管がん死亡は、
男性で9500人、女性9700人とされています。肝内胆管がんはやや男性に多いとされ
ています。また、欧米人と比べて、アジア人が罹る率は高いことがわかっています。

肝内胆管がんの原因はよくわかっていませんが、肝内結石症、原発性硬化性胆管炎、
肝寄生虫症、トロトラストが危険因子とされてきました。近年はC型肝炎との関係も
報告されています。

胆管がんは胆汁の通り道である胆管(直径約1cm)にできるがんなので、腫瘤とい
う、”いぼ”のような状態で発育した場合は、比較的早い段階で胆汁の流れが悪くな
り、顔や体が黄色くなる、黄疸症状がでて見つかることが多いといわれています。し
かし胆管粘膜上皮から発生した場合、インクが紙にしみこむようにして広がるため、
胆汁の流れを妨げることなく進行するので、進行するまでほとんど症状が見られない
こともあります。予後を示す5年生存率(5生率)は、30~50%と予後が厳しいがん
といえます。

胆管がんは進行も早く、肝臓機能障害によるかゆみや白色の便、目や皮膚が黄色くな
る黄疸が現れれたときには、既にかなり進行している場合も多くあります。このよう
なステージになると、手術で取ることが不可能になることも少なくありません。他に
全身の倦怠感や食欲不振、腹部や背中、腰などに痛みを伴うこともありますが、「こ
れが胆道がんだ」という特異的な症状は乏しいのが特徴です。また、胆管は直径が細
いため、超音波検査などの通常、人間ドックなどで行われる検査では見つかりにくい
という問題もあります。

早期発見、早期治療はがん治療の鉄則ですが、肝内結石などの危険因子が存在してお
り、これを防ぐのは予防策の一つと言えます。肝内結石とは肝臓のなかの胆管(たん
かん)に結石ができる病気で、欧米に比べ日本を含めた東アジアで多くみられます。
コレステロールなどの脂質代謝とはあまり関係がなく、欧米人より日本人のようなア
ジア人に多いことから、地域特異的感染症、遺伝などの影響が示唆されます。

このようにまだ多くがわかっていない肝内胆管がんに関しては、今後さらなる疫学調
査が必要だと思います。原因解明が進むことが、その疾患の予防につながるからで
す。