2013年4月3日

第二の新型インフルエンザ『狂想曲』とならないようにーH7N9報道をうけて

<鳥インフル>ヒトへの感染しやすく変異 国立感染研が確認
 中国で鳥インフルエンザウイルス(H7N9型)の感染者7人が確認された問題で、国立感染症研究所の分析で、ウイルスがヒトへ感染しやすく変異していることが確認された。
 今回のウイルスを分析した国立感染症研究所の田代真人・インフルエンザウイルス研究センター長によると、ウイルスはヒトに感染できるように変異し、哺乳類の体内で増殖しやすくなっていたという。田代センター長は、ヒトからヒトへの感染は確認されていないが、上海市のケースでは可能性が否定できないとの見方を示す。
 東北大の押谷仁教授(ウイルス学)は、ウイルスに大きな変化が起きた可能性を懸念し、「ヒトからヒトへの感染の危険性が増していると考えることもできる。その場合、大きな被害をもたらす可能性はあり、かなり注意が必要だ」としている。【藤野基文】
毎日新聞 4月3日(水)12時58分配信




中国でトリ由来のインフルエンザ(H7N9)が発生しました。このウイルスによって、どの程度ヒトヒト感染が起こるのか、また病原性の度合い(高病原性か邸病原性か)を見極める必要があります。
高病原性という可能性があるのなか、自然発生的なものなのか、人為的なものなのか、という決定を政府は必ず行う必要があります。現在の病原体による流行に関しては、バイオテロの危険性が必ずつきまといますから、国家としての危機管理上、必ず疑ってかからねばならないのは、世界の常識と言えます。わが国の危機意識は世界標準から比べると段違いに低いので、政府がそれを認識する事が急務と言えます。

自然発生的なインフルエンザであれば、その侵入を食い止める事は不可能です。空港閉鎖、学校閉鎖、交通路の遮断、検疫強化などは、インフルエンザ流行を抑えたというエビデンスのないものです。特に、2009年に主要空港を中心に行われた検疫強化は、H1N1インフルエンザに罹った人に対して、不必要な社会的差別化を生む結果となりました。

現在の政府のインフルエンザ対策は、未だに「検疫強化」が中心となっているので、今回のH7N9インフルエンザ対策を行う際には、先ず、この方針を根本的に変更する必要があります。

インフルエンザが流行した場合、ある程度の犠牲を出して、その後かならず終息に向かいます。
ですから、その対策において最も重要なのは、その広がりの程度、犠牲の程度を出来るだけ縮小させることにあります。
具体的には、正しい情報を国民に周知すること(うがい、手洗い、体調管理の重要性など)が大切です。また、患者が医療機関に殺到して、真に治療が必要な、免疫能低下者、若年層、高齢者といった人達が、十分な治療を受けられない、といった状況を回避するために、地域を中心とした医療機関の取り組みが非常に重要なことです。

今までの政府のやり方はすべてトップダウンであり、それによって、現場の要らぬ疲弊と、対応の遅れという、副産物を生み出してきました。
過去の轍を踏まないこと、それはひいては国民の幸いに繋がることを肝に銘じて、厚労省は対応すべきだと思います。

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