2月23日5時14分配信 時事通信
http://www.pnas.org/content/early/2010/02/18/0912807107.abstract
強毒性のH5N1型鳥インフルエンザと人の季節性インフルエンザ(H3N2型)のウイルスを組み合わせると、より病原性の高い混合ウイルスが出現しうることを、河岡義裕東大医科研教授、八田正人米ウイスコンシン大准教授らのグループが23日までに明らかにした。さらに、この場合に鍵を握る遺伝子も突き止めた。研究成果は米科学アカデミー紀要電子版に発表した。
従来の研究では、同様に作られたウイルスの病原性は元のH5N1より弱まっており、強毒ウイルスは生まれにくいと考えられていた。同教授は「新型の登場でH5N1の存在が忘れられているが、監視を続ける必要がある」としている。
(2月23日5時14分配信 時事通信)
新型インフルエンザに対する警戒は
H5N1高病原性鳥インフルエンザに対するものから始ったのですが、
予想に反して(?)H1N1豚インフルエンザが流行したので、
トリはいつの間にか忘れられてしまったようです。
今回の記事は、毎年流行するインフルエンザと
H5N1という高病原性ウイルスが合い合わさって、
より致死性の強いインフルエンザウイルスが生まれる可能性がある!
という身も凍るような記事です。
確率論的には、ありうる話なのだと思います。
問題は、こうして生まれたスーパーキラーウイルスが
本当に私たち人間の間で流行するの?ということです。
私は、まずあり得ないと思っています。
なぜそう思うのかについてご説明しましょう。
一般の人は、細菌とウイルスの区別がついていないことが多いのですが、
ウイルスと細菌は違います。
何が違うかというと、何といっても大きさが違うのです。
人間に例えれば細菌は立って歩ける大人で、
ウイルスはおなかの中にいる赤ちゃんです。
小さすぎてお母さんがいないと生きてゆけないのです。
細菌もウイルスも人に取りついて、悪さをしますが、
細菌は大きいので薬でやっつけることができます。
しかしお腹の中にいる赤ちゃん状態のウイルスを殺すには
どうしたらよいでしょうか。
そうですよね。お母さんも一緒に殺さなければなりません。
実際はお母さんというよりも、遺伝子に入り込んでウイルスは増えていきます。
致死率50%というのは、取りついた人の半分を死に追いやるということです。
ここで考えてください。
ウイルスは一緒に生きてくれるお母さん(宿主といいます)が必要です。
宿主が50%死ぬということは自分たちの半数も死に絶えるということです。
インフルエンザウイルスは
ワクチンなどからの攻撃をかわすために
次々と顔を変える頭のよいウイルスです。
こんな頭の良いウイルスが、
自分たちの半数も死ぬような
自爆テロのようなことをするわけがないと思いませんか。
ウイルスの種類は違うのですがSARSが世界中に広がらなかったのは
余りに致死率が高かったからではないか、ともいわれています。
それでは、この記事で取り上げられた
スーパーキラーウイルスは流行ることはあり得ないことでしょうか?
普通に考えたらまず考えられないのですが、可能性はあります。
それは、人為的に撒かれること、すなわちバイオテロです。
ウイルスは遺伝子解析ができていれば造ることができます。
製造した強毒ウイルスを世界中にばらまけば、
大惨事となることは容易に想像できます。
そうなっては遅すぎますよね。
ですから私たちは、バイオテロの標的とならないようにしなければなりません。
これについては後編で書くこととします。
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