新型インフルエンザ:ワクチン輸入、257億円分解約
長妻昭厚生労働相は26日の閣議後会見で、英国の大手製薬会社グラクソ・スミスクライン(GSK)から購入予定だった新型インフルエンザワクチン7400万回分のうち2368万回分(32%)について、購入契約解約で合意したと発表した。257億円の経費を節減できるという。
長妻厚労相は「(メーカー側に)瑕疵(かし)がない場合は解約できないというので交渉が大変難航したが、GSK社とは決着した。もう1社(スイスのノバルティス)については、非常に厳しいが交渉実行中」と述べた。【佐々木洋】毎日新聞 2010年3月26日 東京夕刊
http://mainichi.jp/select/science/news/20100326dde041040072000c.html
今回流行したH1N1豚インフルエンザで輸入されたワクチンは、
グラクソ・スミスクライン(GSK)製と
ノバルティファーマ製あわせて約8700万人分のうち、
使用したのは僅か2500人程度でした。
計算すると99%が使われていません。
政府はこのワクチン余剰を受けて、
GSKの未使用分約3割を解約したというのです。
輸入ワクチン総額は1126億円であり、
メディアはこぞって「税金の無駄遣い」
と厚労省の対応を批判しています。
そして、海外ワクチンに頼らず
国産でワクチンをまかなうように、
といった風潮が主流になっています。
果たしてこれらの議論は正しいのでしょうか。
まず第一に、ワクチン余剰の問題です。
確かに無駄は省いた方がよいですが、
インフルエンザである限りは
特効薬も100%の予防手段もないことから、
ワクチンを国民分そろえることは
国民に対する保険ともいえます。
もちろん、主要先進国がある程度のワクチンをそろえるために
海外ワクチンとの契約も積極的に進めたのと比べると
日本は遅かった、と言わざるをえませんが。
第二に、海外ワクチンに頼らなくてもすむように
国産ワクチン生産強化を進めるという方向性です。
我が国のワクチン業界は世界から20年以上立ち後れており、
早急に対策を立てなければならない最優先分野です。
しかし、現状のまま国産ワクチン強化作戦を展開することは、
補助金事業を増やし、
ある特定のワクチンメーカーの力を増大させるだけではなく、
厚労省との癒着や天下りと言った問題の
温床を増やすだけ、という指摘も大きいのです。
ポリオワクチンの記事でも書いたとおり、
日本はなぜワクチンが必要なのか、
という基本的概念が分からないままの
ワクチン政策が行われてきました。
国内のワクチン業界を活性化させるためには、
重篤な副反応が生じた際に訴訟でしか解決できず、
払われる金額も海外と比べて非常に少額であるといった、
根本的なことを直してゆかなければなりません。
そして、忘れてはならないのは、
国内ワクチンメーカーの活性化とは、
海外メーカー排除でもなく、
国内のごく一部のワクチン業者の保護でも無い
と言うことです。
第一、日本名がついている会社でも
外資がはいっている場合は多くあります。
大切なのは、国民分のワクチンを
確保しなければならない事態が再び訪れたとき、
国内だけでは間に合わなければ、
速やかに海外ワクチンを導入できる法整備と、
国内産のH1N1豚インフルエンザワクチンでの死亡例が
海外産と比べてきわめて多かったにも関わらず、
「国産安全至上主義」を貫く厚労省の体質改善
なのではないでしょうか。
副反応調査、安全性についても
もっとオープンで中立的な評価プロセスは緊急の課題だと思います。
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雪柳満開です。
「黒猫が二匹戯る雪やなぎ」
娘が詠んだ句です。
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